済州島の4・3事件慰霊祭に昨年は行った。大阪の生野区には、多くの済州島出身の在日の人たちがいる。ということは身内を失った遺族であるという可能性も高い。
韓国でもタブーのように積極的に4・3事件とは何であったのか語られて来なかった。この映画は、映画として初めてこのテーマを扱ったということにおいて大きな意味があることと思う。
第二次世界大戦終了後、朝鮮半島は米・ソに二分されて統治されていた。そんな中、南朝鮮を統治していた米が南に新国家を樹立させるため単独選挙を実施をおこなおうとする。こうなると国が二分されることが固定的になるため反対する勢力が生まれた。済州島では、その前に警察との衝突もあり、単独選挙も反対勢力の抵抗が強く1948年4月3日に300名ほどが武装蜂起した。政府と衝突、赤狩りというような形で、米軍の指示により済州島の焦土作戦が命じられた。暴徒を射殺するというが、結局1954年までの7年間で3万人の罪のない人々が自国の軍隊によって残虐な方法で殺された。
この映画は、この不条理な殺戮を、軍隊の側、逃げて洞窟に隠れる村の人々の側、2つのサイドから描写される。モノクロで過剰なおどろおどろしさは消えているが、抽象的な人物設定もあり、実相を知りたいとか、事件の全体像を知りたいといった思いは打ち砕かれる。虐殺の恐怖、なぜ殺されないといけないのかわからないまま殺される人々。
大阪に暮らす多くの済州島出身の方達は、この島から逃げてきた人たちも、また多いのだ。