« NHK 夏の戦争と平和を考える番組 | メイン | 証言 »

2009年08月13日

監督がスパイク・リーなので

ちょっと、スキマの出来た盆休みに、映画を見てみた。
いつもならば、ドキュメンタリーに走るけれど、たまにはフィクションも。とスパイク・リー監督の「セントアンナの奇跡」を鑑賞。

監督の言いたかったことが沢山あったのか、ストーリー展開がちょっと強引のはご愛嬌か。

第2次世界大戦で、黒人のみのバッファロー・ソルジャーという部隊が存在したこと。
それも、前線に立つ部隊は少数だったらしく、黒人が戦場で英雄になることも白人は毛嫌いしていたという。一人のかつてバッファローソルジャーだった人物が起こした殺人事件で、この話はスタートするのだが、多くはイタリアで連合軍がナチスと戦う中で展開されるストーリーだ。

イタリアで、黒人兵がイタリア人に差別されないことが奇妙な感覚だと感じる。
ずっと、差別され、劣等感をもたされてきた黒人の人たちは、生まれた時からのすりこみで、白人と対等に「黒人」としてでなく「自分・セリフでは俺」として過ごすことが不思議な感覚だと語らせている。
そういった、差別の状況は今まで知らなかった。

また、この映画のオープニングは、小さい十字架が沢山あらわれて、最後は小さい赤い十字架がスクリーン一杯に並べられる。これは、象徴なのだろうな。

この映画に登場する、アメリカ黒人、ナチス、イタリア人。みんなクリスチャンで、同時に主への祈りを行うシーンがあった。敵も、味方も主に祈る。
殺される前に祈る、戦闘の前に祈る。
神がみなの命を救うならば、誰一人、殺してはならないことになるだろうに。
黒人兵士たちの会話の中でも、たびたび「祈り」について、議論もさせる。
なぜ、「神は戦争をさせるんだ。」同じ神を信じる違う立場の人々が殺しあう
。エンドロールで流れる、黒人霊歌 トラディショナルゴスペルがこころに響く。

敵の中には、助けてくれるものもおり、味方の中には裏切るものがいる。
人は、絶対悪ではあり得ず、おそらく両面を持ちつづける。

展開は、つっこみどころが一杯あるが。演者に何を言わせ、観客にどう感じさせたいのか、監督の気持ちは分かるような気がする。

そうして、人々は同じなのに、殺し合いも、差別もすること。それは、今も変わっていない。

投稿者 pianocraft : 2009年08月13日 23:32

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.pianocraftwork.com/mt/mt-tb.cgi/458

コメント

コメントしてください




保存しますか?