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2008年09月14日

ロシア版「12人の怒れる男」

12nin.jpg12人の怒れる男 公式HP

この作品は、リメイク版なのだが、オリジナルは、1957年アメリカでシドニー・ルメット監督のものだ。
私は、ちゃんとオリジナルを見ていないが、ストーリーの大筋は有名なので知ってはいた。
この映画を何故見たいと思ったかといえば、犯人として裁かれているのがチェチェンの少年だからだった。

ロシア的肉付けというのが、いかなるものなのかと思って七藝に向かったのだが・・・ちょうど着いたのが入れ替えの直後で、十三のロケーションをご存知の方はイメージできると思うけれど、あの派手派手の通りからサンポードビルに入ろうとするその時、エレベーターから降りてきた、映画鑑賞後の人達とすれ違った。一様に厳しい顔をしている。ちょっと身構えて映画の始まりを待った。

結果、重い作品だった。12人の陪審員の聞き逃せない言葉、象徴的なことばやもってまわった抽象的な一人ひとりの物語から浮かび出される人の内面が、迫ってくる。
チェチェンとロシアの問題、ロシアそのものの脱共産主義後も残る、設備の悪さや、政府への不満、それぞれの職業から導き出される洞察、あるいは安易さ。表面からは想像できない過去など、一人の命をめぐって、延々と話し合いは続く。

ロシアは、死刑を廃止した国だ。なので、裁かれている少年は「終身刑」になるかもしれないという状況だ。

少年が育ったチェチェンの現実はたぶん描かれるよりもっと厳しいものだろう。殺害された女性ジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤさんの本で読む限りでは救いようのない暴力の応酬だった。
少年の生い立ちを知る映像が間にはさまれるが、チェチェンの村のシーンもその1つだ。民兵でない親のもとで育てられたが、村にやってきて休んでいる民兵に5歳ときから可愛がられ、カフカスの見事なダンスを少年と民兵たちが披露するシーンは躍動的で好きだ。
しかし、彼は両親を殺害され、ロシア軍の将校だった義父に育てられることとなる。

陪審員の中には、同じカフカス出身者もおれば、ユダヤ人もいる。民族的な偏見、職業差別などもお互いの中で露骨に表されることになる。
その中で、導き出される結果は、ロシア版独自のもの。

この映画は、長い。160分もある。だが、飽きさせることはなかった。
監督も陪審員2の役で出演しているが、どの俳優も素晴らしかった。
最後の評決は、希望もあるが、絶望もある。少し、判りづらい点がいくつかあって、できればもう一度は見て確認したいのだけど、無理かな。DVDになるまで待つか・・・

けれど、日本の裁判員制度には疑問がある。

大阪の公開は、第七藝術劇場
         シネマート心斎橋

投稿者 pianocraft : 2008年09月14日 20:41

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コメント

お久しぶりです☆
いいなー、手作り味噌!私も作ってみたいけど、大きな瓶かなにかに仕込むの?我が家のような味気ないマンションの気温でも美味しく育つのかなぁ?

次に仕込む時は是非声かけてください!

投稿者 kazumin : 2008年09月16日 13:06

Kazumin~~~!!!元気ですか?
いやいや、コメントありがとう。
味噌の写真をUPしようと思って撮ったのですが、あまりぱっとしないので載せなかったのです。

仕込んでいる容器は、大きめのタッパーのようなものでホームセンターで売ってる9Lくらいのを使ってますが、出来上がりの量はその2/3程度です。

味噌仕込み大会しましょうか?それとも、マッコリ大会のほうがお好き??

投稿者 pianocraft : 2008年09月16日 17:05

こんばんは。リメイク版がまたでたのですね。アメリカで作り直したもの。日本では『12人の優しい日本人』。でも,これはなかなか厳しいリメイクですね。チェチェンの少年が裁かれるのに加えて,いろいろな背景があるとのこと。難しい判断がせまられますものね。わたしもDVDになったらぜひ見たいと思います。

投稿者 KATEK : 2008年09月16日 20:38

Katekさん。こんばんは。
そうですね。リメイクが多いですが、私は見ていないのでなんともいえません。ただ、チェチェンの少年ということで、社会背景がうんと違います。ナイフのシーンも多分、チェチェン独自の文化が大きく絡んでます。でも、謎が残ってるんだなあ。気になります。

投稿者 pianocraft : 2008年09月17日 22:16

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