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2006年06月13日

ベーゼンドルファーピアノ

besen.jpg
ベーゼンドルファーピアノアクションモデル

昨日は、日本ピアノ調律師協会、関西支部の女性調律師の集まりで、オーストリアの名器、ベーゼンドルファーピアノについて学ぶ機会をもった。

ベーゼンドルファーは、スタインウエイと並んで、コンサートピアノでおなじみだが、その音つくりは独特で
ウインナトーンとも呼ばれる。そのサウンドは、パワーのあるスタインウエイと違い、ボディの枠組み(リム)のつくりが柔らかいために、音の立ち上がりはシャープではないが、消えていく時間(減衰時間)がゆっくりで響きが残っている時間が長い。など、いろいろ特徴はあるのだが、生産台数が少なく、手作り感に好感をもてる。

オスカー・ピーターソンはいつもこのピアノを弾いている。
ジャズではパワーがあるほうがいいように、思うときもあるのだが、だけれどこのピアノは空間に響く音がすばらしく、ジャンルを選ばないと思う。というか、そもそも、ピアノがジャンルを選ぶわけや、演奏者を選ぶわけではないし、音楽がこのピアノでないと・・・というのもまた、ない。
すべては、その時のプレイヤーとの出会いであり、空気であり、その人がそのピアノをどのように自分の領域に持ってくるかということなのだと思う。

昨日は、このピアノを使って、ピアノのコンディションを整える方法を、コンサートチューナーの方にレクチャーしてもらい、道具や、こういうときはどのように行うか、手順どおりならどうやるか、などさまざまな形でアクション(機械構造)を分解してもらい、技術の方法を教えてもらった。

女性の調律師ばかり集まり、年に2回ほどこのような講座を企画したりしている。関西で協会に入会している調律師は440名あまり、そのうち女性は現在48名。
まだ、少数派である。少数派であるがゆえに理解されにくい点もあるだろう、また、女性のライフサイクルの変動のために多くの女性たちが、働き方を変化させてがんばっている。これが、男性調律師と違うところか。

まあ、今回も若い女性たちが多くあつまりよかった。

昨日みんなと話していて、ピアノの調律師は、コンサートで音を楽しむことができないという人がいた。
技術的にピアノの音を聞いているという。わからないことではない、でも、私がもしそのような気になる点があるとしたら、よっぽどマズイ状況が起こってる場合だろう。

昔のジャズやブルースの録音のピアノの音のすごいことといったら、チューニングもびやんびやん言ってる。でも、クラッシックのピアノコンサートと違うのは、それでもその悪条件でも、彼らの演奏はやっぱりすばらしいと思うことだ。それも、これも、仕方がないとはいえ、その時の彼らのサウンドである。
それは、楽しむほうとしては、調律があかんからやってられんわ~とは思わない。すごい!すばらしい。
これは、わたしが調律師の自分は自分の中のごく小さい部分と考えてるせいかな????

でも、ピアノはすばらしい。というよりは、音楽はすばらしく、私を刺激するものだ。

投稿者 pianocraft : 2006年06月13日 20:58

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コメント

おはようございます。昨日相方とちょうどピアノの話をしていました。ヤマハピアノの音と,スタインウェイの音のこと。NHKのスーパーレッスンという番組で,なぜヤマハのピアノを使っているのか,ピアノの音比べをしたりしてはどうかなど。結構,相方はピアノの音にこだわっているようで・・・べーゼンドルファーもいい音ですよね。(なんてよくわからないくせに・・・)演奏家とピアノの音がしっくりくる感じはいいなぁとおもいます。でも,あまり細かいことのわからないわたしは,ともかく気持ちよく音楽が聞けるだけでステキです。

投稿者 KATEK : 2006年06月14日 04:54

KATEKさん。こんにちは。
細かい音のことは、好きな人がこだわればいいことだと思ってます。音楽を聴くことは、もっと幅広く、心まで入ってくるものなので、それぞれの感じ方が一番ですよね。
気持ちいいっていうのが、もっとも幸せな感じ方だと思います。

たくさん音で幸せになりたい。ナミイおばあみたいに、「遊び」なのですから。いっぱい遊べたら満足です。

でも音比べ自体は、面白いですよ。ピアノを2台以上並べると、どんなピアノも違う音がします。ピアノショールームにいって遊んでみてください。

投稿者 pianocraft : 2006年06月14日 11:24

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