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2006年04月25日
映画「ナイロビの蜂」試写会
ナイロビの蜂〈上・下〉 集英社文庫
ジョン ル・カレ (著), John Le Carr´e (原著), 加賀山 卓朗 (翻訳)
この前、小説を読んだ印象をエントリーした。
http://www.pianocraftwork.com/mt/archives/000244.htmlなので映画の試写会を応募したら当選し、一足先に映画を観ることができた。
いつも思うのだが、映画の原作って「読んでから見るか見てから読むか?」映画を観てから悩む。
今回も上下巻ある長編なので、サスペンスの密度も濃く、先を読ませる気にさせる面白い作品だった。
それを映像でみるにあたり、、監督の意図で思いきり違うものになっているか、小説に忠実かというところから入る。今回は、原作に沿っているが、読んでいなかったら、もう少し流れを自然に観ることができたのかもしれない。と思えた作品だった。ということは、この原作を読んでいない人は、まず映画観たほうがいいかも・・・という感想だ。けれど、人物関係はわかりやすいか謎だ。
ケニアの風景は、予想以上に乾いていて、物語の重要なポイントとなる湖も殺された現場も想像した風景ではなかった、ほんとうに大きな荒地が多く、貧困の原因となる干ばつになってしまうのも納得できる。気温は映画からは伝わりにくいが、相当暑いはずだ。
小説のように、製薬会社や外交官、政府の腐敗を描いているが、こちらは映画のほうがトーンダウンしている。テッサとジャスティンの愛の軌跡にウエートが置かれているからかとも思うけど。
けれど映画のセリフで私のこころにひっかかって離れないものがあった。最後の教会のシーンでスピーチされる言葉。
「アフリカの命は安い」
よく、紛争でカウントされる死者の数のことを命なのにと思うけれど、アフリカでは違う。
生きている命すら安いのだ。製薬会社によって治験され、亡くなったアフリカ人は、死んだことも、薬を投与されたことも、生きていたことも記録から消され隠されていた。これは、映画の中でのことだけれど、ル・カレ(原作者)の書いたように製薬業界はもっと闇であるという言葉からも、これは事実から離れた事ではないように思う。
「安い命」利用され、捨てられ、忘れられる。このことで潤う多国籍企業がある。これは現実だ。
主人公のジャスティンは妻の死を「安い命」で終わらせたくなかったから、彼女のたどった道をもう一度生きて、告発を現実に投げかけようとした。
エイズも貧困が原因だ。それを止めることができないのは、誰のせいか本当はみんな知ってる。
製薬会社は、武器商人と一緒だ。と映画で誰かが言っていた。
矛盾だらけ。援助のふりをしながら命を奪う。
投稿者 pianocraft : 2006年04月25日 23:09
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コメント
映画,面白そうですね。本も面白そうです。わたしも,映画を見るのと同時に原作を読みたいと思うタイプです。原作に忠実なものとかけ離れたものとがありますものね。アフリカの命は安い上に,存在を抹消されてしまうというのは,現実なのだと思うと,複雑な気持ちになります。のほほんと生きている私。でも,医療もちゃんと受けられるし,生きていける。この差が,息苦しいです。
投稿者 KATEK : 2006年04月27日 05:50
KATEKさん、いつも有難うございます。
そう、映画を観たとたん本屋に走りたくなるのもありますね~。
観てから深く掘り下げてみるっていうの。この作品は、その方が楽しめそうです。
アフリカは、いつも貧困とエイズで話題になるけど、支援の難しい場所なのでしょうか。政府の問題もありますよね。
確かにこの日本での生活とかけはなれています。でも、この「のほほん」を手放さないでいいように、政治を見張っていたいですね。
投稿者 pianocraft : 2006年04月27日 22:10
こんにちは。TBありがとうございました。
小説をお読みになったのですね。
上下巻とは、きっと陰謀的な部分がかなり詳しく書かれていて、邦題の意味も納得できるんでしょうね。
蜂って・・と少し考えて多分製薬会社のマークのことかな・・と思いましたが、映画の中では題名にちょっとインパクトがないのが、唯一残念だったように思います。
投稿者 Sis.C : 2006年05月23日 01:17
Sis.cさん。こんばんは。メインPCの不調で入院してたりして、ブログが滞りがちでした。
映画を観られたならば、小説を読むと細かいところまできっちり判りますよ。最初、なんだかとっつきにくいのですが、入り込むと進みます。ナイロビの蜂、すなわちスリービーズは、そう蜂のマークの製薬会社のことですね。小説のカバーに3匹の蜂が舞っているでしょ。
私も、映画観てから読めばよかった・・・・。
投稿者 pianocraft : 2006年05月24日 23:42
TBさせていただきました。
噂どおりの名作で、社会派の映画でありながら心から感動しました。
投稿者 タウム : 2007年10月27日 08:11
タウムさん。コメント、TBありがとうございました。
確かに社会派で製薬会社の闇を映し出してくれる内容とともに美しい映画でもあったと思います。
投稿者 pianocraft : 2007年10月29日 22:58