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2006年04月15日

ナイロビの蜂 

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ナイロビの蜂(C)2005 Focus Features,LLC

風邪をひいていた。久しぶりに熱まで出して、ぼんやりしている間にジョン・ル・カレの「ナイロビの蜂」を読んだ。

映画のほうも5月に上映される。今年のアカデミー賞でレイチェル・ワイズが助演女優賞を獲った。
物語はざっとこんな風だ。ナイロビで英国高等弁務官事務所に勤める外交官のジャスティンは、突然妻のテッサを殺害されるという形で失う。
テッサは、ケニアで医療援助をするNGOや世界食料計画と連携して積極的に活動していた、強い女性だった。彼女は、巨大製薬会社がアフリカの人々を実験台にして危険な治験を繰り返し死に至らせたことを告発しようとして、その道半ばで殺された。この国の官僚、外交官、多国籍企業の癒着の構図を描きながら、妻が死にいたった真相をしるために夫のジャスティンはテッサのたどった道を行くというものだ。

これは、サスペンス小説だ。架空の外交官、官僚、製薬会社も問題の薬もフィクションだ。
作者のジョン・ル・カレはあとがきで、多くのアフリカでの専門知識を与えてくれた国境なき医師団の医師や製薬会社が第三世界と取引するうえでの不正を暴く活動をしている団体の存在に感謝している。
いろんなことが架空であるけれど、製薬業界の闇はこの小説より深いということらしい。
実際に映画化するにあたっても、英国外交団体から批判を受けていた小説だったが、実際の英国の高等弁務官が映画の製作に協力したと言う。ケニア政府もしかり。

ケニアは、本当に貧困の中にある。この小説が映画という映像になるにあたって、きっと圧倒的な美しい自然と圧倒的な貧困を見るに違いないと思っている。
テッサにはモデルの女性がいるという。
貧困への援助の必要はまぎれもなく、本当に必要なことだから。

映画を楽しみにしている。テッサのいるケニアに連れて行ってほしいから。

投稿者 pianocraft : 2006年04月15日 00:22

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トラックバック時刻: 2006年05月15日 10:19

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トラックバック時刻: 2006年05月19日 17:49

コメント

こんばんは。風邪引きでも読み終えられたのですね。やはりパワフルです!
この映画はたくさんのところで上映されるようですので、観ることができそうですね。
先日発表された世界人口白書の平均寿命もケニアは男女共40歳だったと思います。アフリカは紛争、食糧難、医師不足、エイズ等、原因はいろいろあるのでしょうが同じ「人の一生」なのに余りに違いすぎます。

投稿者 hana : 2006年04月15日 18:45

hanaさん、こんばんは。回復してhanaさんのブログ一気読みしました。美味しそうな写真が一杯で、しかもきちんと考えられた生活を実践しておられるところなど、頭があがりません。

わたしは、エネルギーがあるというわけでなく、結構ズボラです。
力を自分勝手に使ってるので、じっとしてるなら、サスペンス小説やし読めるかと・・・。結局、読んでしまいました。

多分、ケニアの貧困については、自分の状況からすると想像力をいっぱいいっぱい使っても、限界のありそうな感じがするのです。しかも、そこから抜け出せるという希望も無い。先進国の奴隷です。経済の。
エイズの格安のノーブランド品も堂々と売れるといいのに。

投稿者 pianocraft : 2006年04月15日 21:54

こんばんは。TBさせていただきました。原作をお読みになったそうで、映画はごらんになりますか?私はこの作品の、社会的問題と夫婦の愛情とを上手く織り込んだストーリーに、感心しました。
 ケニアはいつかは訪れてみたい国です。どのような劣悪な状況でも人々は前向きで、雑草のように力強く生きていているようです。きっと私達と、価値基準が違う生き方をしているんでしょうね。

投稿者 Sis.C : 2006年05月20日 03:14

Sis.Cさん。コメント、TBありがとうございました。
映画のほうは、試写会で観ていまして、エントリーは下のとおりです。
http://www.pianocraftwork.com/mt/archives/000250.html

わたしも、ケニアのスラムの様子を他のドキュメンタリーでみてその広さに圧倒されました。この貧困の問題は、地続きであういは、海をも越えてこの日本にも関係があるのだと思います。いい映画でした、原作を読まれることをお勧めします。

「ヒストリー・オブ・バイオレンス」のTBも送らせていただきました。

投稿者 pianocraft : 2006年05月22日 00:28

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