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2006年03月08日
辺見庸の記事を読む
学校調律@体育館
今朝の朝日新聞に「漂流する風景の中で」というシリーズで、作家の辺見庸が「小泉時代とは」という一文を書いている。この文章の冒頭で「一犬に吠ゆれば万犬実を伝う」後漢のたとえだという言葉を取り上げている。<一人がでたらめを語ると、多くの人々がそれを真実だとして広めてしまうもの。>という意味らしい。その言葉のなかの「万犬」が群集で、「一犬」が小泉というわけだ。そして重要な事はそれをつないでいるメディアの功罪について、マス・メディア批判を展開している。
本文によると、かつて小泉首相が人気絶頂のころ「支持率80%の首相に批判的な番組をつくるのは不可能に近い」と民放TVディレクター氏は言ったらしい。
確かにTVのニュースショーは、先日からメール問題一色。その前はホリエモンバッシング一色。どこのチャンネルもトップニュースは同じ顔でうんざりした。しかも、どんどんその関心は次から次へとあきられると捨てられ、移り気に、熱狂的に過ぎ去っていく。
この熱狂に恐ろしさを感じないだろうか?
この空気感を辺見庸は「ファシズム」に例えた。ファシズムとは「いかなる精髄も単独の本質もない」ものらしい。本当は、芯のない漠然としたよどんだ空気の塊のようなものなのだろうか?
たぶん、そういった空気にとりこまれて戦争は現実のものとなったのだろうと想像できる。
寒寒とした気分。
右翼的な気分が今は流行で、情熱的で、自分のうさもはらせるし、「いっとけ!」なんて思わないで欲しい。
この集団的な高揚は陶酔できるシロモノかもしれない。でも、脳みそをうんとこき使って欲しい。誰が得してるのか。自分を守ってくれるものは、そんな社会じゃない。
学校を仕事でまわっていると、小学校や中学校では卒業式の準備をしているのがわかる。そんな体育館のピアノを手入れする。ここではどんな卒業式が行われるのだろう?といつも思う。今日の小学校では、子供がチーム分けをして描いた大きな絵が掲げられていた。そう、卒業するのは子供が一緒に過ごした人と場所と思い出。ひとりひとりの違った思い、こころを大切にして巣立って欲しい。
大人は、踊らされちゃだめなんだよね。ホントに。情けない。
投稿者 pianocraft : 2006年03月08日 22:37
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コメント
こんばんは。そのピアノで君が代が演奏されるのでしょう。この問題で,考える教員は疲れきっているはず。なんだか暗くなります。ニュースも本当に大本営発表みたいになってきているのは,ひしひしと感じます。政治を批判しているような顔で,愚痴しか言わない番組。ただの迎合ですよね。世の中を簡単にしか見渡せなくなっている目に,危機感を覚えます。私自身。
投稿者 KATEK : 2006年03月10日 18:13
KATEKさんこんばんは。
教員の立場では、この時期は辛いでしょうね。先生方を気の毒に思います。卒業式と入学式を迎えるとき、親として参加するにも非常に神経を使います。
子供達がどうするのか・・・。と。
小泉首相は、靖国参拝することを思想信条の自由が憲法で保障されているといいますが、子供たちの心に歌を強制することもしないで欲しいですね。
そんなに「歌わせたい」歌なのですかね?わかりません。
投稿者 pianocraft : 2006年03月12日 22:34