2005年07月31日
「映画 日本国憲法」と日高六郎さん
映画 日本国憲法読本
7/31雨の激しく振る中、福島区民ホールで行われた「映画 日本国憲法」上映会と出演者でもある日高六郎さんの講演会に行ってきた。
ジョン・ユンカーマン監督による、世界の知識人からみた「日本国憲法」とその成り立ちについての証言をインタビューでつづってある。
9条というのは、いったいどういう経緯で生まれたか?9条を何故守らなくてはいけないのか?その成り立ちを、日高さんやジョン・ダワ-さんたちが映画で語る言葉は、興味深い。
敗戦してもなお、明治憲法をなかなか捨てられなかった政府に対し、民間の憲法研究会やさまざまな団体が民間憲法として考えた案をGHQはよく検討したという。
わずかな期間でまとめあげられた、日本国憲法は、アメリカから押し付けれれたものというより、民間人の願いからうまれた、「非戦の誓い」という9条にこそ、その真価を認めることが出来る。
映画は、アジアから見た、日本の姿も見せる。まだ、終わっていない戦後。次を踏み出せないでいるアジアは、日本にその多くの原因があるという自覚を、持とうとしなかったためである。取り残された人々がまだ多くいる。
その中でも9条を書き改めて、軍隊を正式に認めるという動きを世界がどう捉えるか?アメリカのみがそれを大いに賛成する。アメリカは、GHQによって憲法をあたえもしたが、その後、改憲も迫る。要するに、アメリカ政府によってつごうのいい日本を求めつづけた。
映画の後も憲法の話は続く。日高六郎さんの講演はたいへんな熱弁であった。連日のハードスケジュールで疲れているとおっしゃっていたが、聞いているものにそんなことは感じさせ無い、伝えなくてはならない使命感をもっておられるといった雄弁さだった。
その話のなかで、こころにとまった言葉がある。だいたいこういう内容だったと思うが、「世界では、戦争がいつおこってもおかしくないというのが、平時の状況であるのに対し、日本では、平和であるということが、あたりまえの平時の状況である。」それは、平和憲法があったから。絶対、戦争はしない。と誓ったから。である。
では、いま改憲の論議が生まれている状況というのは、「平時が平和」というのを捨て去る事だ。アメリカに屈せず、平和を守り抜けるのだろうか?「日本国憲法」なしで?
9条問題か~といろいろ、よく聞く話題だけれど、今ひとつ、改憲か護憲かわかりずらい~という人は、一度ご覧になってはどうでしょう。
読本も出ています。DVDもすでに販売されている。
もう、平和という感覚は、少し日本でもスタンダードでなくった。自衛隊がイラクに行っているし。
何をすべきか。考えるべきか。
投稿者 pianocraft : 2005年07月31日 23:42
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コメント
一日に2度のコメントお許しください。わたしもあの映画見ました。日高六郎さんはわたしにとって考え方の基本を作った人。日高さんの話も面白かったですが,ベアテ・シロタ・ゴードンさんの話がとても記憶に残っています。ベアテさんのことは樹村みのりさんが,『冬の蕾』という漫画を最近出していて,そこで詳しく語られています。(店頭での販売はしていません)日本国憲法をつくった人たちの思いを考えつつ,憲法「改正」の自民党案を読むと,本当にひどい。こんな世の中で何ができるか考えてしまいます。
投稿者 KATEK : 2005年11月02日 19:16
「冬の蕾」についてのKATEKさんの記事も読ませていただきました。ネットで調べると労働大学出版センターに申し込むって書いてましたね。わたしも問い合わせてみよう。
結局、映画「ベアテの贈り物」も見れてないんですよ~。どこかで見ようと思ってますが。
投稿者 pianocraft : 2005年11月02日 21:54
私もこの映画を見ました。映画の後、ジャン・ユンカーマン監督の講演会がありました。講演会というよりは観客とのディスカッションと言う感じでした。監督が言った”憲法は国が国民に要求するものではなく、国民が国に対して要求しているものだ”という言葉が印象的でした。お上意識の強い日本ではこの基本中の基本が理解されていないのではないでしょうか。日本、アジアの人々2300万人以上の命と引き換えにこの憲法を手にいれたのですから、簡単に手放す事はできません。
投稿者 Nasbon : 2005年11月03日 20:00
憲法ってなんなんだろうか?とほんとにこのたびは考えました。
おっしゃるように、「憲法は国民のもの」のはずです。どこかで、自民党改憲案は、すり返られています。
「戦争の放棄」もそう願うからなので、「安全保障」に変えられるものではありませんよね。
平和状態をキープするって、難しい事なのに、簡単に戦時を想定する、そうなる前にすることがあるじゃないか!と思います。
投稿者 pianocraft : 2005年11月05日 00:06
7/31 岡山から日高先生の話を聞きに行きました。
とても88歳とは思えない、お元気な様子で、
私が大学で教えていただいていた頃とほとんど変わらないぐらい、しっかりとした口調でした。
50年も前のこともよく覚えておられ、憲法の成立過程や
教科書検定など話題は多岐にわたり、そしていかに市民運動が
重要かを話されました。
帰り際、ちょっと喫茶店で話したのですが、
なお情熱を感じることしきり。
とても充実した日でした。
投稿者 メフヘテップ : 2005年11月20日 22:33
メフヘテップさん。こんにちは。コメント有難うございました。
日高さんの教える学生さんだったのですね。きっとお若いころも、情熱的に平和を語られたのだと、想像してます。
今の日本に伝えないといけないことに使命感をもっておられるようで、素晴らしいです。これからもお元気でいて欲しいですね。
投稿者 pianocraft : 2005年11月20日 23:07
30年ほど前2回だけ日高さんの講演を聞きましたが,恐ろしく平衡のある人で彼と同じ歳の,すなわち戦中派の父親を持つ僕は考えさせられました。戦時中を生かされるのは日高さんのようなインテリだけではなくむしろ僕たちのような在野にいる市民です。父はほとんど狂い死にをしました。
投稿者 山端伸英 : 2006年07月24日 12:09
山端さん。はじめまして。コメントありがとうございました。
おっしゃるとおり戦時に国に従うことを強いられるのは、私たち、一般の人間です。しかし30年前の日高さんは、お若かったでしょうね。
この映画を観た去年の夏の日本と、今の日本は状況がかわっています。
「平時が平和」というのも怪しくなってきました。なし崩し的に、自衛隊が戦地に行きます。武器を持たないで生きていける努力をおしまないでほしいです。
投稿者 pianocraft : 2006年07月26日 23:26