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2004年03月17日
生れてはみたけれど
昨夜、思わずのめりこんだ映画を観た。のめりこむといっても、真剣に見入るというよりも、あまりにもはまってしまった。というほうが確かだけれど。
小津安二郎の作品といっても、映画通やマニアの方々と違い、BSで放送されたものをチェックする程度の認識しかない私にとって、衝撃の作品だった。
「大人の絵本~生まれてはみたけれど」という作品を知る人は多いのか少ないのか一般的には解らないが、すくなくとも私には未知のものであった。これは1932年に公開されている。
2人兄弟(小学生)と父の関係。郊外に引っ越してきて、子供の仲間に入れずケンカをしたりする毎日。ふてくされる姿、遊ぶすがた、街の風景。すべて良く出来ていて、子役がすごすぎて
のめりこんだのだった。コメディでもあり、ホームドラマでもある。この、すぐれた子役の青木富夫さんという方が、今年1月になくなられた。80歳の姿を私はしらないが、最近の出演作もあり機会があればチェックしてみたい。
こんなことを言うのは、日本映画を知らないせいだろうが、この頃の映画のクオリティはすばらしく高いことに驚かされた。無声映画なのだが、場面の音のなさ、口がパクパクしているなかに言葉を読み取ろうとするのも楽しいものだと思った。
ついこの間、アメリカの現在のヒット映画のランキングと簡単な紹介のあるTV番組をみてしまったが(というのは後悔してるということ)、どうなってるのかねエ、下らん映画ばっかりやってて(本編をみたわけではないが)、ランクの多くはコメディ+エロチック路線。この中で日本に公開されるのはあるんかね?と思ったところだった。
実に新鮮な映画。そして、1930年代の父は暴君ではなく非常に、穏やかに、子供に語り掛ける。女性も権利や社会進出は今のようではなかったろうが、母も父にちゃんと話し合いをする
ポジションがあった。古く、しかしモダンで実に自由な生活があって、ほのぼのとして。日本の軍隊が力を持つようになるまでは、平和でおだやかな人の心があったことを想像させる。
機会があれば、見る価値あり。です。
投稿者 pianocraft : 2004年03月17日 10:30
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