映画アメリカばんざい~戦争に行く前と後
十三の七藝で、「アメリカばんざい」を見てきた。
予告では丸刈りのブートキャンプの若者たちの姿があったので、その辺を中心に取材されたものかと思ったがなんの、もっと深い問題に切り込んでいた。
この映画は、藤本幸久監督と、ジャーナリスト影山あさこさんの取材によって作られたドキュメンタリー映画だ。イラクに派兵される若者は貧困層であるということは、よく知られたことだが、本当に学費に困ったり、技術を身に付けられると思い、志願した若者に帰還後待っているのは、PTSD、無職、ホームレスだった。2回目の派兵を拒否し、軍法会議にかけられた後は保証もなにもない。全て、失って、職も得られずホームレスになる。アメリカ全土のホームレス300万人のうち、3人に一人が帰還兵といわれている。
自分の国のために、人を殺し、自分も捨てられる。これが戦争であり、国であると、この映画が伝えることは、今も増え続けるイラクやアフガンの帰還兵によって証明されている。
この映画には帰還兵として、志願する若者を減らそうと運動する人がいる。また、おばあさんたちが、志願を勧誘するオフィスに立ちふさがり一人でもあきらめる運動を展開している。たとえ、逮捕されてもめげない。
たとえ、彼らが酷い状態で、アメリカから冷遇されていても、イラクやアフガンではその兵士の標的になり命をいつ奪われるか判らない市民がうんといるということも、忘れてはいけない。
シンディ・シーハンさんも登場したが、彼女ら戦争で子供を失った母たちは、アメリカの兵士の死者4080人に対して、イラクでは15万人が死んでいることも知っている。こんなばかげたことが、いち早くやめられることを心から思う。
やっぱり、国は国民を守らない。
自分の子供を「殺人にNOを言わない人形」にブートキャンプでしてはいけない。
日本が、これに加担していること忘れてはいけない。他人事ではない、自らの手を使って殺していないだけなのだから。