「靖国」を見る人を観て見た。
そろそろ、七芸も空いてきたかな?と思ったので、上映時間が朝のうちに行ってこようと思ってでかけた。そういえば今日は、「映画の日」で1000円でした、ラッキーだった。
朝10時からの上映で、早めに9時30分ころ到着すると、5人目くらいに並んだ、その後徐々に人は増えて30~40名ほどの人数だったかと思う。
年配の人か若者が多かったと思うので、私のような中途半端の年齢はお仕事の人も多いのか平日の午前中は見当たらない。中でも多分70代くらいの女性と娘さんか妹さんかとが、体を思いやりながら一番前の席でご覧になっていたのが印象深い。
終了後、そのおばあさんが「良かったわ」と語っているのを聞いて、しみじみ嬉しい気持ちになった。
この映画を観ると8月15日の靖国神社がいかに異様であるかを思い知る。
小泉首相の参拝の問題があった時期に撮られたものなので、参拝を支持するというプラカードをもったアメリカ人が星条旗をもって立っているのに対し、好意的な普通の人や右翼の人がいるかと思えば猛烈に反発して「ここでこんな旗をあげてはならない」と抗議をし、警察までやってきて、すごすごと荷物を抱えた帰るシーンなど笑える。反米右翼も親米右翼もあれば、一般の遺族の人もいれば、騒ぎの好きな人もいれば、軍国ショーを見に来ている人もいるのだろうかしらと思いたくなる。
遺族でも、靖国に合祀を反対する人がいる。ドキュメンタリー映画「草走之歌」でとりあげられた台湾の少数民族のチワス・アリさんたち、また、映画「あんにょんサヨナラ」の韓国のイ・ヒジャさんたちが宮司に詰め寄るシーンも撮られている。
その間に、静かに監督が語りかけるのは、「靖国刀」をつくる刈谷さんだ。多くは語らない。
職人の使命で、刀を打ち続ける。90歳の方の仕事とは思えない力強さだった。多くは語りたくないというの気持ちもある。中国人の監督に聞かれることばにも答えず、宙をみすえる。
自分の生きてきた道を否定されるような感覚を味わいたくないだろうから。
「刀」は道具だが、靖国のご神体でもある。その刀が、最後のシーンでは日本兵によって多くの残虐な仕事をしてきた写真が続けて映し出される。
靖国の魂は、人斬りの道具なのだ。と思わせるシーンだった。
戦争にいかないで、行かせたものは(特に女性たちは)、軍隊でどのように厳しく、つらく鍛えられ、戦場で望まない殺戮をしなければならなかった人々のことを本当にはしらない。しかも今もなお、戦争を礼賛する神社に魂があるというならば、そんなに辛いことはないだろうに、と私は感じる。
何故、家に帰ることが許されないのだ。
そこにあったのは奇妙な器だった。
激高する人、叫ぶ人、彼らはうれしいのだろうか。国に命をとられることが。
七芸の今後の映画のラインアップもすごいお勧めです。
七芸のシネマクラブに入ろっかなとも思います。一緒に行く連れも1000円だしね。
詳しくは第七藝術劇場 HP http://www.nanagei.com/index.html