久しぶりに映画で消化不良。試写会に当たったので、「ジャーヘッド」という映画を見ることになった。<湾岸戦争を米軍の一海兵隊員の目で見たもの>という触れ込みだったので、どうせアメリカサイドから見た戦争だろうけれど、あの時現実離れした、花火のようなスカッドミサイルをTVで茶の間で見ていたあの戦争が、地べたではどのようだったのか、原作の手記に基づいて映画化されているのなら、見てみようという気持ちだった。
ところが、原作は読んでいないが、軍隊の暴力的な非人間的な扱いや兵隊達の性的興味には辟易する。「ジャーヘッド」の意味も、兵隊の坊主頭のことを「からっぽのびん」に例えて海兵隊員のことを称すらしい。確かに、頭を空っぽにして、殺人の事しか考えられないような訓練をするからね。
主人公は狙撃主として前線に立つ、一発でしとめる役割を担う。戦争が終わってアメリカに帰っても銃をたずさえてココロは砂漠をさまよっている。
この映画のコピーも、うんざりだ。
見終わっても釈然としない。共感もできない。
いつも、米軍と逆方向から現実の情報を得ているからだろう。
今日きた週刊金曜日にもイラクの記事が載っている。
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この「ホテル・ルワンダ」は公開までの「思い」がとても強い映画だった。昨年のアカデミー賞授賞式「Ray」のジェイミー・フォックスが賞をとるか見ていて、他に主演男優賞にノミネートされていた「ホテル・ルワンダ」のドン・チードルを解説していてこの映画の内容を知った。その後のこの映画公開までの道のりは、「ホテル・ルワンダ日本公開を応援する会」のHPを観て欲しい。
何度も、ルワンダの大虐殺についての情報を読んでいるし、この映画の主役の行動についても、映画のストーリーもすべて知っていたけれど、映画をみることで、文字で知っている事では得られない人間の息遣いや風景を突きつけられた感がする。
もっとも強烈に揺り動かされたのは、国連のベルギー軍がやっとやってきて、これでツチの人たちも救われると思ったとたんに、裏切られるシーンだ。救われたのは外国人だけだった。世界は自分達を見捨てたと知ったとき。このシーンをみていて、自分はどちら側から今見ているのだろう?と思った。
残された人の絶望感か去っていく外国人が感じている不甲斐なさ、無力さだろうか?傍観者として映画に立ち会ってしまった私は、どこにいたのか?
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「ヒストリー・オブ・バイオレンス」2005年アメリカ/ カナダ
ヴィゴ・モーテンセンについて書くと、少々冷静さに欠くかもしれないことをお許しいただきたい。
ヴィゴは、この「ヒストリー・オブ・バイオレンス」デビット・クローネンバーグ監督の作品のプロモーションのために来日している。カナダ大使館でプレミアがおこなわれたらしいが、配給会社のファンへの対応は失望させるものであったようだ。
この日本の地にヴィゴがいることについて、どう思うか?と聞かれたら、どうとも思わないというのが正直な感想だ。なにせ、プレミアは東京で開かれるし、実感がわかないからね。そりゃ、たまたまパブで隣にすわって飲んでいたなんて状況があれば別だけど。(きっと、別の自分になるかもしれないな)
ところで、この映画に関して「暴力」に対してヴィゴはどう思うか?というインタビューで、「暴力は本質的には自己破壊であり、他者にたいする攻撃は結局、自分自身への攻撃となる」というようなことを言っている。これは、彼がアメリカ政府のイラク攻撃を批判したりする活動にも通じるように思われる。自身で詩を書き、絵を描き、写真を撮る表現活動をする、変わり者の俳優であるから、繊細な表現者の感性というべきか。
ヴィゴは、息子をイラク戦争で失い、ブッシュに息子の戦争での犬死の謝罪をもとめる運動を展開している「シンディー・シーハン」さんをキャンプに訪問した事は、blogでも書いたが、そのときのシンディの様子をヴィゴファンのmisaさんのインタビュー翻訳で知った。以下、引用させて頂きます。(全文はhttp://viggowords.exblog.jp/i3)
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