「論座」2006年2月号定価:780円(税込)
2006年01月05日発売
1月4日に、ふと朝日新聞をみると「論座」の広告が載っていた。その内容について、報道されたり、ブログなどで書かれているが、見出しを除いて12ページに渡って、朝日新聞論説主幹の若宮啓文と読売新聞主筆の渡辺恒雄が小泉の靖国参拝を批判した対談を行っている。
記事冒頭は、こんな風である。
タカ派論客と見られている読売新聞主筆・渡辺恒雄氏の発言が目立っている。首相の靖国神社参拝に強く反対し、A級戦犯に限らず関係者の戦争責任をはっきりすべきだと訴えるのだ。
憲法改正問題をはじめ、多くの問題で主張が真っ向から対立する読売と朝日だが、果たして「共闘」は可能なのか。両社の社論の責任者が徹底的に話し合った。
結果、靖国問題に関して、朝日も読売も今こそ結束して、軍国主義下の日本のマスコミの過ちを2度としてはならないという「共闘」の意志が語られた。
靖国の合祀が行われたのは、1966年合祀の名簿が靖国神社にわたされて12年後の1977年。宮司が変わってからのことだ。それについて昭和天皇が「山階(前任の靖国宮司)ならああいうことはしなかっただろうな」と語ったらしいこと。それ以来4半世紀以上天皇は、靖国参拝をしていない。(若宮氏)
また、一度合祀したら、魂をわけることはできないということを、水の例えで、他の杯に足した水をもとの文だけ取り出せないという理由として宮司は言ったという。後に勝手に作り上げられた国家神道の教学上の問題というが、これによって国民が引き裂かれているとも言っている。(渡辺氏)
特に気になった言葉(渡辺氏のP.30発言引用)
<中国や韓国が首相参拝に反対しているからやめるというのはよくないと思う。日本人が外国人を殺したのは悪いけれども、日本国民自身も何百万人も殺されている。今、靖国神社に祀られている多くの人は被害者です。やはり殺した人間と被害者とを区別しなければいかん。それから加害者の方の責任の軽重をきちんと問うべきだ。歴史的にそれをはっきり検証して「われわれはこう考える」と言ってから。中国や韓国にもどういう迷惑をかけていたのかという問題がでてくるのだ。やっぱり彼らが納得するような我々の反省というものが絶対必要だ。>
この意見をうけて、若宮氏も<私もよその国にいわれるまでもなく、自分達で考えるべきだというのには賛成です。>という。
そう。日本人は自分の頭で考えてこなかった。自虐史観などとあおりたてて、正しく検証する事を卑下する事のように言う向きには、自尊心を傷つけられたと思う人にはぴったりだ。売られた喧嘩を買うような軽いノリで、反中国、反韓国を展開することが、いかに浅はかか。
これから、自分で書いた反省文をみんなに聞いてもらえる国になるんだろうか?危惧しているのは、老ジャーナリストだけ?でも、大いに吠えまくってほしい。こういうことならば。
だが、彼ら2人は改憲派である。この辺は、納得いかないけどね。9条の自衛隊が憲法にあってないなら、あうように軍縮しようよ。とわたしは思うけれど。
しかし、なかなかおもしろい対談だった。読売の爆発を期待しよう。