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2006年02月25日
ヴィゴ来日!「ヒストリー・オブ・バイオレンス」
「ヒストリー・オブ・バイオレンス」2005年アメリカ/ カナダ
ヴィゴ・モーテンセンについて書くと、少々冷静さに欠くかもしれないことをお許しいただきたい。
ヴィゴは、この「ヒストリー・オブ・バイオレンス」デビット・クローネンバーグ監督の作品のプロモーションのために来日している。カナダ大使館でプレミアがおこなわれたらしいが、配給会社のファンへの対応は失望させるものであったようだ。
この日本の地にヴィゴがいることについて、どう思うか?と聞かれたら、どうとも思わないというのが正直な感想だ。なにせ、プレミアは東京で開かれるし、実感がわかないからね。そりゃ、たまたまパブで隣にすわって飲んでいたなんて状況があれば別だけど。(きっと、別の自分になるかもしれないな)
ところで、この映画に関して「暴力」に対してヴィゴはどう思うか?というインタビューで、「暴力は本質的には自己破壊であり、他者にたいする攻撃は結局、自分自身への攻撃となる」というようなことを言っている。これは、彼がアメリカ政府のイラク攻撃を批判したりする活動にも通じるように思われる。自身で詩を書き、絵を描き、写真を撮る表現活動をする、変わり者の俳優であるから、繊細な表現者の感性というべきか。
ヴィゴは、息子をイラク戦争で失い、ブッシュに息子の戦争での犬死の謝罪をもとめる運動を展開している「シンディー・シーハン」さんをキャンプに訪問した事は、blogでも書いたが、そのときのシンディの様子をヴィゴファンのmisaさんのインタビュー翻訳で知った。以下、引用させて頂きます。(全文はhttp://viggowords.exblog.jp/i3)
<モーテンセンを見てシーハンの精神が高揚したとあなたは思うかもしれない。彼の生気に満ちた青い瞳、くぼみのある顎、2x4の切り口のようにスクエアな所、彼のビーフジャーキーのように無駄のない体格に。いや、彼女は青ざめたのだ。
「彼女には奇妙なことだったんだ」ヴィゴは彼女の打ちひしがれた顔を思い起こしながら言う。何が彼女を動揺させたのかを知ったのは後になってからだった。シンディと息子が最後に一緒にしたことの一つが、モーテンセンを脇役からスターへと変えた『ロード・オブ・ザ・リング』3部作の最終作『王の帰還』を見ることだった。だからヴィゴが自分に向かって歩いてくるのを見たとき、一瞬ゴンドールの王冠への流浪の後継者、アラゴルンだけを見たのだ。そしてその同じ瞬間、彼女は死んだ息子の存在を感じた。>
アラゴルンの姿を見たというのは、胸に詰まる思いだっただろう。息子との大切な思い出。
あの「ロード・オブ・ザ・リング」は、確かに壮大で大好きなのだけれど、いろんな種が争う戦争映画だ。
どう考えても暴力はどこにも満ちている。現実にも映画にも。ごく近くの暴力と国の振るう暴力。これは、サイズが違うだけで、攻撃と報復の繰り返しで生まれるものはなく、失う命とカウントされる死者のみだ。
この映画を冷静に、見られるだろうか?リアルな映画をうんと観てきた今のわたしに。ヴィゴに見とれてしまうだけの映画にならないことを期待している。
投稿者 pianocraft : 2006年02月25日 23:41
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